「(想像力で)冒険に出かけよう」フェア

想像力、という言葉が好きです。

お金をかけて絶景を観に行けば

そこには素晴らしい景色があるに決まっていますが、

何もないところに想像力を足して

そこに存在しなかったものが立ち上がってくる瞬間には

ただ受け身でいるだけでは味わえない、特別の感動があります。

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「ジャーニー」「クエスト」「リターン」という3部作の絵本は

「想像する」ということのダイナミックな力を

教えてくれる素晴らしい作品です。

冒頭のページは現実世界の退屈な自室。

女の子が赤いマジックペンでドアを描くと

そこが異世界(空想の世界)への入り口になり、

女の子の冒険が始まります。

川に出くわせば女の子が船を描き、ペンで描くことで現れた船に乗る。

水路が高いところで突然途切れていてピンチになると

急いで気球を描き、危機一髪で落ちそうだったところを切り抜ける。

そんなふうにして1本のペンと想像力だけを道具に物語は進みます。

 

この絵本にはじめて出会ったとき、とても強くこの物語に

引き込まれてしまったのを覚えています。

それは「本を読んでいる」のではなく「物語の中にいる」と思わせる

不思議な感覚。

 

実は、この絵本には文字がありません。

しかしストーリーはかなり強固に存在していて

字がない分、読者は1ページごとに何が起きたのかを考え

読み解いていかなければならないのです。

その作業が能動的にこの物語に入り込むための

仕掛けになっているのだと思います。

 

ぜひこの「体験」、してみてほしいなあと思います。

本は3部作ですが、1作目だけでも、また別の1冊でも

それぞれに完結しているので1冊からお楽しみいただけます。

 

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「冒険×想像力」といえば

4月に刊行されたばかりのこの本も欠かせません。

「アームストロング 宙飛ぶネズミの大冒険」

実は人類よりも先に宇宙に着陸していたという、

発明家のネズミについての、ロケット開発をめぐる大冒険物語。

かなり大胆な歴史の改竄っぷり(いや、新解釈というべきでしょうか)も

楽しいし、20世紀初頭のアメリカを思わせる

クラシックな雰囲気に溢れた絵も、一枚一枚が美しく、素敵です。

絵本はただの紙にすぎないはずなのに、

何百億も予算のかかった超大作の映画を一本観たかのような

圧倒されるような読後感があります。

こちらもぜひぜひ体験していただきたい絵本です。

 

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今回のフェアでは、

想像する力と冒険というテーマが合わさりあっているような本を

さまざまなジャンルから選びました。

 

他には、たとえば

ナショナルジオグラフィック社から出版されている

秘密の地下世界や、究極の洞窟ばかりを集めた写真集。

こちらは現実そのものですが、ページを開くだけで

枯れかけていた想像力がわんわんと湧いてくるのを感じます。

それから谷川俊太郎と安野光雅の怪作「あけるな」や

時代をエレベーターのようにめぐるアート絵本「HERE」。

現実社会にゾンビが現れた場合の対策を大真面目に論じる

「ゾンビサバイバルガイド」や

魔法世界を妄想する際の呪文や武器のネーミングに役立つ

「幻想ネーミング辞典」もご用意しております。

 

見ていただきたい本がたくさんあります。

本屋でしかできない冒険を探しに、ぜひお店にいらしてください。